新卒で営業はきつかったけど、たくさん勉強になった話【実体験】

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「新卒で営業に配属されることになったけど、営業って体育会系のイメージで、ノルマもあってつらそう。」
「ルート営業ならまだいいけど、新規営業はテレアポや飛び込みもしないといけなくて大変そう・・・。」
「営業って専門スキルが身につくわけでもないし、今後のキャリアも気になる・・・。一生営業をしていかないといけないのだろうか。」
「営業ってつらい。残業は多いし、月末は予算が達成できるか胃がキリキリする。」

一般的に営業というと、このような感想を持つ方も多いと思います。

僕も新卒から営業を3年間やっていましたが、実際につらいことも多かったです。

ただ、やはり勉強になることも多く、今の仕事にも活用できていることがたくさんあります。

この記事では、「営業でつらかったこと「営業を通して身についたこと」「今後のキャリア」について思うことを書いていこうと思います。

個人的には営業は経験しておいて良かったと思っていますが、もちろん全員に営業をおすすめするわけではありません。フラットな立場で「新卒が営業職に就くということ」について書いていきたいと思います。

営業はたしかにつらい!

いきなりつらい面を書くのもどうかと思うのですが、やはり営業というと「つらい」というイメージがあるでしょう。

はい、つらいです。笑

きれいな言い方をすれば「やりがいがある」とも言えるのですが。

まず、営業といっても、大きく2つに分けると「ルート営業」と「新規営業」があります。

「ルート営業」とは

会社ですでに取引のあるクライアントに対して定期的に訪問を行い、発注をいただきます。
基本的にはクライアントの欲しいものが決まっているので、必要な商品を販売すれば職務は果たせます。
もちろん新製品があれば提案を行います。ルート営業はメーカーに多い傾向ですね。

「新規営業」とは

会社でまだ取引をしたことがない新たな取引先を開拓する仕事です。
一般的につらいと言われる営業はこちらの新規営業です。

僕も新卒から3年間、新規営業をやっていましたが、なかなかつらいことが多かったです。笑

つらかったことをいくつか紹介します。

テレアポ、飛び込みがつらい

ルート営業と違って、訪問先を会社が用意してくれるなんてことはありません。

自分の訪問先は自分でアポイントを取る必要があります。

アポイントを取る手法は業界によって様々で、戸建の営業マンが街で看板を持ってる姿など印象的ですよね。

僕の働いていた会社では「テレアポ」が中心でした。

電話帳を使い、朝から夜までひたすら電話をしつづけて、1日だいたい200~300件ほどかけていました。

単純に体力的にも大変なのですが、それ以上に断られることがつらいです。

当時はアポ取得率1%を目安にかけていたので、1日2~3件のアポ取得を目標にしていました。それも決裁権のある代表者(社長)でないとアポとして認められないため、難易度は高かったです。

1日中電話をしてアポが0件という日もざらにあり、1日の終わりに「何をやっていたんだろう」と切ない気持ちになることもありました。笑

また、当時は100名以上で同時にテレアポをしていたので、同じ会社に何度もかかってしまいクレームをもらうこともしょっちゅうありました。ある程度テレアポをしていると慣れてくるのですが、1番最初にクレームを頂いた時は精神的にかなりきましたね。笑

目標予算の達成がつらい

営業という仕事は、経理や人事などの間接部門と違い、売上の数値が個人別で明確に出ます。

僕のいた会社では、自分の給料に合わせて目標の予算が決まっていたのですが、この予算達成がなかなかハードでした。

ゴリゴリの営業会社であったため、同じ営業マンの個人別の成績がいつでも一覧で見れる環境が整っていました。数字が良い時は見ていて楽しいのですが、苦戦している時は見るのも苦痛でしたね・・。

そして、予算達成が難しそうな月は、上司から当たり前のように問い詰められます。

上司「あと300万円足りないが、どうやって目標達成するんだ?」

「平均単価100万円として3件の受注が必要です。1件の受注には5件の訪問が必要なので、あと15件のアポを取る必要があります。15件のアポを取るために残りの稼働日で1,500コール電話をかけます。架電先の媒体も準備しております。」

上司「平日稼働だけで足りるのか?」

「・・・土曜も出ます。」

このようなやりとりで休みの日がなくなることもありました。笑

また、予算を大幅に達成した月があったとしても、翌月になるとリセットされるので、毎月ラットレースのような感覚もあり大変でした。会社によってはクォーター(3ヶ月)や半期ごと(6ヶ月)で予算を追っているケースもありますね。

クライアントに最も適したサービスを提供できなかった

これは会社や商材にもよるのですが、僕がいた会社はクライアントの事業形態や規模に関わらず、とにかく同じ商材のみ提供するという会社でした。

ある会社にとってはここまでの機能はいらないケース、ある会社にとってはもっと高性能な機能を持ったサービスの方が適しているケースでも、単一のサービスを提案するしかありませんでした。

ある意味、営業力が身につく環境ではあったのですが、サービスを導入して頂いてもクライアントに満足していただけることが少なかったです。

個人の予算があるので、予算の達成度合いではやりがいを感じることはできましたが、クライアントよりも自分の数字ファーストで働いてしまっており、罪悪感を持つこともありました。

残業が多い

もっとも大きな目標が「予算の達成」だったため、予算の達成が厳しそうな時は稼働時間を増やすことで数字を作りにいきます。

また、日中はテレアポや訪問が入っており、夜に翌日の提案資料作成や受注処理などを行っていたので、どうしても残業は多くなってしまっていました。

そもそも、稼働時間は9時~18時だったのですが、部署全体での1日の振り返りが20時からだったので、強制的に残業が発生するような働き方でした。笑

ただこれは何年も前の話で、電通の残業問題などもあり今では多くの会社で無理な残業は減ってきていますので、この記事を読んだ方もそこまでおびえる必要はないと思います。(脅かしてすみません!)

僕のいた会社もだいぶ働きやすくなったようです。

営業をやっててよかったと思うこと

長々とつらい面ばかりご紹介してきましたが、もちろん良い面も多かったです。

「これはためになったなー」という内容をいくつか紹介します。

ビジネスマンとしての基本スキルが身につく

営業という仕事を通して以下の力が伸びたなと実感します。

  • スケジュール管理能力
  • コミュニケーション能力
  • クロージング力
  • 他者の調整能力
  • 目標達成能力

それぞれ簡単に説明します。

スケジュール管理能力

営業は外回りがあるため、働き方の裁量が大きいです。自分でスケジュール管理を行うので、予定の組み立て方や仕事の進め方が身につきました。

スケジュール管理はビジネスマンとしての基礎となるので、新卒のうちに鍛えることができてよかったです。

コミュニケーション能力

営業は対面で外部の方とお話をするので、いやでもコミュニケーション能力は身につきます。

僕は以下のようなことを日々意識していました。

「初めて会う方に心を開いてもらうためにはどうすれば良いだろうか?」
「相手に気持ちよく話してもらうためにはどのような聞き方が良いだろうか?」
「小学生でもわかるように簡単に説明するにはどのような言葉を使えば良いだろうか?」

これらを日々実践する環境にいるため、コミュニケーション能力はかなり上がりました。

何より初対面で全く緊張しなくなりました。笑

クロージング力

いかに自分を気に入ってもらい、サービスを良いと思ってもらっても、人を動かすには最後のひと押しが重要です。

僕も初めの頃は、契約書を出して「やりましょう」と言うことにとても勇気がいりました。

ゲスな話ですが、女性とのデートでホテルに行きたいと思っていても、最後にクロージングをしないと自分の望む結果は得ることができません。

営業が強い営業マンは大体女性にもモテていましたね。営業力が身につけば女性にもモテるようになると思います。

たくさんの社長に会える

僕のいた会社は基本的に決裁者(社長)にアポ取りをしていたため、毎日のように社長に会います。

多い営業マンだと1日3件の訪問があるので、年間250稼働日だと、年間750人の社長と話すことになります。

  • どのような経緯で会社を始めたのか
  • どのような考えで経営をしているのか
  • 今の経営の課題

など、たくさんの話を聞くことができたのはとても勉強になりました。提案先の業種もさまざまだったので、数多くのビジネスモデルを知れた点も良かったです。

他者との調整能力

営業で受注をすると社内の他部署との調整が必要になるケースもあります。

いかに動いてもらうかという視点で、直接伝えるか上司を経由して伝えるかなど、どのような方法だと素早く動いてもらえるかを考える能力が身につきます。

実力主義の評価制度

大会社だと未だに年功序列での評価制度が多いですが、営業という仕事は基本的には成果に応じてお給料が決まります。

20代で部長になる人もいたぐらいで、自分次第でいくらでも出世できる環境があったのは良かったです。

目標数字はきついですが、やればやるだけ歩合ももらうことができるので、20代で年収1,000万円プレイヤーという強者もいました。

営業の今後のキャリア

僕が営業をやっていた時に一番気になっていた点が、今後のキャリア設計でした。

正直、一生営業部で数字を追う人生は嫌だなと思ってました。

ラッキーなことに、僕は4年目で同じ会社のウェブマーケティングの部署に行くことができて、その部署の先輩が独立するタイミングで引き抜いてもらい、今はその会社で役員をやっています。

個人的な考えですが、営業という仕事は3~5年間くらい勤めて、別の職種に進むのがベストかなと考えています。

20代であれば未経験でも採用してくれる会社はたくさんありますが、30代で未経験だとやはり採用される確率は下がってしまうので。

ただ、今となって思えることですが、正直営業ができればいくらでも潰しが利きます。

まず、転職の際の面接も自分を売り込むという営業ですので、面接も強くなります。

もちろん、営業を長く続けて営業力が磨かれれば自分で仕事を取ることもできるようになるので、独立という選択肢もできます。

キャリア設計を考えることも重要ですが、悲観的になる必要は全くないと思っています。

営業が合わなくても悲観しなくていい

営業という仕事はつらい面もありますが、とても勉強になることが多いので、頑張り続ければ必ず得るものがあります。

ただ、人によってはどうしても営業が合わないという人もいるでしょう。

多少の忍耐力は必要かもしれませんが、「あ、これは自分には合わないな」と感じたら思い切って転職してしまう方がいいと思います。

僕の新卒の同期でも営業では結果が残せなかったが、転職先で活躍しているメンバーも多いです。

対面で物を売ることが苦手でも、今はインターネットで売ることもできますので、自分には合わないなと感じたら別の方法を考えたら良いと思います。

体を壊してしまってからでは遅いので。

さいごに

働いている当時はかなりきつかったのですが、今振り返れば営業をやっていて良かったと思っています。

  • 社内での給料の交渉も営業力
  • 女性をデートに誘うのも営業力
  • 引越しをする際の家賃交渉も営業力
  • 友達にお願いをするのも営業力

普段の生活で、営業力を活かす場面は山のようにあります。

僕は営業力は「人を動かす力」だと思っていて、この力を20代で身につけることができると思えば、新卒で営業職についた方は人生をお得に生きられる能力を磨くチャンスだと思います。

逆に、体力的にも精神的にもきつい「営業」という仕事を30歳でやろうと思うと、かなりしんどいなと思うので、新卒で右も左もわからない状態だったがゆえに、がむしゃらに頑張れた自分もいたのかと感じています。

あとは営業がつらいと思った時に、この本を読んだら気持ちを持ち直したこともありました。

営業の考え方の基本が詰まっており、この内容を実践すると営業力は上がると思います。

ストーリー形式で書かれているのでいわゆるビジネス書が苦手な方にもおすすめです。

Amazon Audibleにもあるので、営業の移動中に音声で聞くのもありですね。
>>「営業の魔法」(Amazon Audible)

以上、営業はつらいけど、学ぶこともたくさんあるよというお話でした。