【感想】moto本「副業と転職のかけ算」は全サラリーマン必読の書

BUSINESS Work

この度、現代のサラリーマンの雄であるmotoさんの初の書籍、「転職と副業のかけ算」が発売された。

紙の書籍は2019年8月9日の発売だが、Kindle版で先行販売されたので、さっそく読了した。

僕は今年30歳になるサラリーマンだが、全サラリーマン必読の書と感じたので、本の感想を混ぜながら紹介させて頂きたい。

サラリーマンでありながら圧倒的な支持を得ているmoto氏

近頃は個人で情報を発信する環境が整ってきていることで「フリーランス」ブームが起きており、Twitter界隈でも「新卒で企業に勤めずにいきなりフリーランスになる人」も増えてきている。

サラリーマンはどちらかというと「人気がない存在」になりつつある中で、サラリーマンでありながら、Twitterやvoicy、noteで本質を突いたコンテンツを発信し、圧倒的な支持を得ているmotoさん。

彼がツイートする文言は瞬く間にリツイートといいねの嵐になる。

ネット界隈ではかなりの有名人だが、motoさんを知らない人もいるだろう。

motoさんの経歴を見れば、お金に関心のあるサラリーマンは強く興味が惹かれるはずだ。

motoさんの経歴

書籍の表紙にもなっているmotoさんの経歴(キャリア)はこうだ。

  • 20歳で地方のホームセンターに就職し、年収240万円
  • 22歳で人材系の企業に転職し、年収330万円
  • 23歳でリクルートに転職し、年収540万円
  • 27歳でITベンチャーに転職し、年収900万円(本業年収700万円+副業年収200万円)
  • 30歳で広告ベンチャーに転職し、年収5,000万円(本業年収1,000万円+副業4,000万円)

世間一般のサラリーマンであれば、気になるポイントが無数にあると思う。

僕がこの経歴を見て感じたことは、

  • 1社目が地方のホームセンターで、30歳で本業年収1,000万円になったキャリアって異常すぎるだろっ、おいおいっ!
  • 30歳で転職回数が4回もあるの?
  • 業界が変わりすぎているがこの人は何をしたいの?
  • 副業で4,000万円も稼げているのになんで独立しないの?

といったあたりだ。

この疑問が読んでいくことで全て解消されていく。

「転職と副業のかけ算」の内容

目次の内容を引用させて頂く。

序章 「個人で稼ぐ」サラリーマンが本当の安定を手に入れる時代

第1章 年収240万円の地方ホームセンターを選んだ理由
第2章 地方ホームセンターやリクルートで学んだ「成果」に繋がる働き方
第3章 4度の転職で年収を上げ続けた「転職術」
第4章 本業を活かして稼ぐ「サラリーマンの副業」
第5章 生涯年収を最大化する生き方

内容としてはタイトルの通り「転職」と「副業」に関して書かれているのだが、単なるノウハウを紹介する本というよりは、今後の生き方や働き方を示唆してくれる内容となっている。

この記事で内容の全てを紹介することは難しいので、詳しくは実際に読んでもらいたいのだが、簡単に内容をまとめてみたい。

「個人で稼ぐ力」を身につけないと「本当の安定」は手に入れられない

「本当の安定」を意識する上で重要になる考え方として、「自分株式会社」という考え方を紹介されている。

自分を会社に置き換えた場合、取引先(収入源)が勤めている会社のみだと、それがどんなに大きな会社だとしても、リストラなどでその収入が途絶えたら倒産してしまう。

そのため、別の収入源として副業という選択肢を持って、収入源を安定させる考えを持つことができる。

また、今の自分の働き方をもっとも評価してくれる取引先を探すという意味で、転職という選択肢も出てくる。

収入だけではなく、無駄な経費や時間も意識するようになり、固定費の削減(格安SIM)、無駄な飲み会、移動時間など削れるところは削る意識が強くなる。

そうして余ったお金や時間を自分の投資に回して、純資産を増やしていく意識が強くなっていく。

会社から「経営者目線を持て」と言われても、自分がその会社を経営している訳ではないため本当の意味での「経営者目線」を持つことは難しい。

しかし、「自分株式会社」という考え方であれば、当然BSやPLも意識していく。

■BS(Balance sheet)
貸借対照表。会社の資産・負債・資本(純資産)状況を表す。
個人に落とし込むと、自分がいくらの資産(現金や不動産、株式など)があり、いくらの借金があり、いくらの純資産(資産から負債を引いたもの)があるのかを表す。

■PL((Profit& Loss statement))):
損益計算書。会社の収益状況を表す。
個人に落とし込むと、毎月いくらの収入があり、いくらの支出があり、いくらの利益が残っているのかを表す。

転職で年収をあげる大前提は「今いる会社で成果を出す」こと

転職をすると年収が上がるイメージを持っている方は多いと思う。現在は働き手の売り手市場で、人手不足に悩まされている企業が多いことは事実だ。

そのため、特にスキルがない人でも転職をすると年収が上がるという誤解を持ってしまうのも無理もないだろう。

motoさんは本の中でこの誤解に対して、強く釘をさしてくれている。

実際に転職の際に年収を上げるテクニックも紹介してくれているが、本質的には「自分のスキル」によって年収が決まっていくとのこと。

詳しくは書籍に譲りたいが、motoさんがどのような考え方で働いてきたのかを紹介されており、読んでみるとmotoさんは仕事にかなりコミットしていることが伝わってくる。

Twitterのアイコンが飄々とした表情なので、スマートな働き方をしていたのかと想像していたが、実に泥臭い働き方なのだ。

仕事で成果を出せずに悩まれている方はぜひmotoさんの働き方を読んで欲しい。これから仕事を始める新卒の方も必ず参考になるはずだ。

僕も新卒で営業をしており、決裁権を持つ代表のアポを取るためにテレアポをしていたが、メールでのトップアプローチの方法は賢すぎてずるいと感じた。笑

転職に「社内での評価」は不要。大切なのは「市場からの評価」

転職をする際に「社内での評価」は全く役に立たない。大切なのは「市場からの評価」だ。

特に大企業では業務が縦割りされているケースが多く、その会社でしか役に立たない仕事をしている方もいるだろう。その方がいくら「社内での評価」が高くても、他の会社に行った時に、成果を出せるとは限らないため「市場からの評価」には繋がらないケースがある。

そのため、転職で年収を上げたければ普段の仕事を通して「市場からの評価」を意識して働く必要がある。

motoさんは本の中で、「市場からの評価」は「生産性を高めること」で上がっていくと紹介している。

「生産性」とは「会社の業績を伸ばすための本質を見極めて、効率的に行動する力」とmotoさんは捉えており、5つの要素に分解して紹介されている。

  1. 論理的な思考ができる力
  2. 構造的に物事を捉える力
  3. 物事を俯瞰したうえで、課題を特定する力
  4. 課題に対して仮説を立て、誰にでもわかりやすく話せる力
  5. ①~④を用いて組織をマネジメントする力

この5つの力を身に着けるためには「業界の状況」「会社の課題」「部署の役割」「自分のミッション」と、自分の置かれた状況を「上流から下流まで」知っておく必要がある。

本の中では、これらの力を伸ばすためにすべきことも紹介してくれており、働き方の見直しにはもってこいの内容だ。

年収を大きくあげる「軸ずらし転職」

この「軸ずらし転職」という考え方を知っているか知らないかで、転職の際の年収は大きく変わると感じた。

転職する人の大半は、自分の今の仕事の延長で転職先を探すことが多く、同じ業界の競合他社などに転職するケースもあります。

ただ、それだと大きく年収をあげることは難しい。

年収は「職種×業界」で大枠が決まっているようで、年収の高い業界の代表例として、「商社・コンサル・金融・通信・広告」を挙げられている。

特徴としては「扱うお金が大きく、利益率が高い」業界だ。

そのため、今の職種で年収のレンジが高い業界に軸をずらして転職をすることが年収を大きくあげる鍵となってくる。

年収に関わってくる大きな要素はこの「軸ずらし転職」だが、書籍の中では年収をあげる可能性を高める細かいテクニックも紹介されている。

また、「転職先の選び方」「転職のタイミング」「転職エージェントとの付き合い方」「職務経歴書の攻略法」「面接時で意識するポイント」「退職の伝え方」「転職後のコミュニケーション方法」など転職のプロの目線での実践的なノウハウが惜しみなく紹介されており、大変参考になる。

本業を活かして稼ぐ「サラリーマンの副業」

この本ではmotoさんが実際にどのように副業で稼いでいるかを、丁寧に収入の内訳まで書いて紹介してくれている。

また、副業の種類も網羅的に紹介してくれており、「副業って何をするの?」という人にもイメージがつきやすい内容となっている。その中でサラリーマンにもっともオススメの副業が「コンテンツ配信」のようだ。

コンテンツ配信とは、Twitterやブログ、noteなどインターネットで情報を発信することでお金を稼ぐ方法だ。

Twitterやブログであれば、アフィリエイトという形で自分が紹介したサービスを使用してもらえると自分の一定額の報酬が入ってくる仕組み。

noteであれば自分が持っている知見や経験を文章に起こし、それを必要な人が購入してくれることでお金を稼ぐことができる。

サラリーマンは本業があり、副業にそこまで多くの時間は使えないので、自分が作業をしていない時間でも勝手に広がっているネットでのコンテンツ配信がオススメなのだ。

さらにサラリーマンの強みとして、本業でつちかった知見や経験というのは、同じような課題を持っている人の役に立てる可能性が高い。

本業で成果を出して質の高い知見を溜めて、それを発信して誰かの役にたつことでお金を稼ぐ。そのサイクルをぐるぐる回していくことがサラリーマンに最適な副業のスタイルだ。

本の中では、情報発信の方法や時間の使い方、どのようなジャンル・テーマで発信すべきかという点をmotoさんの視点で紹介してくれており、とても参考になる。

「転職と副業のかけ算」を読み終えてみて

僕は趣味程度にブログを書いており、お小遣い程度の収入を得ているだけだが、本気で副業に取り組んでみようと感じた。

今までの副業を紹介する本はどちらかというと、本業は効率的にこなして副業に力を入れようというスタンスの本が多かったが、motoさんの本はまずは本業ありきのスタンス。

本業に本気で取り組むからこそ、質の高い経験を得ることができ、その情報を発信することで受け手側の役に立つ情報を届けることができる。

このスタンスを消化しているのはmotoさんくらいしか思いつかない。控えめに言って、好感度は抜群だ。

その上、副業への意気込みも強くなっただけではなく、motoさんの仕事への取り組み方を受け取って、本業もさらに力を入れて取り組んでみたいというなんだか熱い気持ちにしてもらえた。

日本中のサラリーマンがこの本を読んで、書いてある内容を実践すれば、「サラリーマン」が憧れの対象となる時代が来るかもしれない。

全サラリーマン必読の書なので、早いうちに読んでおくことをオススメする。

読み終えてもらうと、この本のタイトルの「転職と副業のかけ算」という意味が、きっとすごくよく理解できるはずだ。